2017年02月09日

川久保篤巡査部長シリーズ。

佐々木譲の小説を集中して、続けて読んでいます。

新潮文庫に「川久保篤巡査部長シリーズ」があります。今のところ2冊だけかな? 

シリーズ1作目の「制服捜査 (新潮文庫) - 」を読みました。

地味なシリーズだと思います。派手な事件が起こる訳ではなく(「暴雪圏」のほうは少し派手かな)、地域に根ざす駐在が出会う、日常から少し逸脱した「事件」。事件は必ずしも解決しない、また駐在警官が大立ち回りをするとか、犯人を追い詰めて逮捕するとか、そんなものもたくさんはありません。本当に地味な感じです。でも主人公の川久保篤巡査部長が「いい味」を出している。小さな町の「駐在さん」として、人間関係を見つめる。中には失敗もあり、苦い思いを味わうこともある。解決したといっても、手柄は他の人が取っていくことさえあります。

「わたしは制服の駐在警官です。地元のささいな情報に聞き耳を立てる。それが任務だ。こういう事件の捜査と被疑者逮捕は、担当捜査員の仕事。気にしてません」 (p.300)

という言葉が印象的です。

先に「暴雪圏」(シリーズ2作目)を読んでしまったのですが、1作目が後でも大丈夫です。ただ、けっこう大きな事件が起こってしまったので、この志茂別駐在所ではなかなかネタがないのかもしれませんが(笑)、ぜひこの川久保篤巡査部長の活躍を見たいと思います。刑事として札幌に返してあげたら、きっと活躍なさると思うのですが。また、志茂別には単身赴任で来ていらっしゃるので、家族との交流あるいはすれ違いも見てみたいものです。

佐々木譲の小説に登場する警察官たち、皆さんあまり家庭には恵まれていないようで(笑)、「北海道警シリーズ」の佐伯と小島、どちらも離婚していますし、つきあいがはじまるのかと思ったらぜんぜんはじまらないし(笑)、プライベートが充実しないようです。「ささやかな日常」というのを、味わわせてあげたいと思うのですが、いかがでしょうか? 警察官という職業、かなりプライベートを犠牲にする仕事だと思います。うちの職場に「警察OB」というかたがいらっしゃり、ときどき話をするのですが、本当にたいへんなお仕事をなさってきたのだと思います。警察官とか、あの制服を見るとすごくいやーな気持ちになっていたのですが、うちの職場のかたやこの小説のおかげで、私の見る目が少し変わってきたと自覚しています。日常的に警察のお世話になることはありませんが、少なくともご迷惑をかけないようにしたいと思っています。

制服捜査 (新潮文庫) -
制服捜査 (新潮文庫) -
暴雪圏 (新潮文庫) -
暴雪圏 (新潮文庫) -
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2017年01月30日

立て続けに佐々木譲を読んでいる。

警察小説で有名なようですね(他の小説もあるようですが)。佐々木譲の小説を立て続けに読んでいます。

会社の同僚から勧められました。いちおう、人から勧められたら読むようにしていますので。そうしたら、これがなかなかおもしろい!

最初に読んだのが、「警官の血〈上〉 (新潮文庫) - 」。戦後すぐの荒んだ時代から、およそ現代まで、三代にわたる警察官の親子がたどった運命を描いています。勧めてくださった方は、「終わり方がちょっと……」とおっしゃいましたが、私はとても気に入りました。
警官の血〈上〉 (新潮文庫) -
警官の血〈上〉 (新潮文庫) -

一方、次に読んだ「北海道警シリーズ」の「笑う警官 (ハルキ文庫) - 」「警察庁から来た男 (ハルキ文庫) - 」「警官の紋章 (ハルキ文庫) - 」(とりあえず、この3冊まで読んだ)は、いずれもごく短い時間、一晩の出来事を書いていて、「警官の血」とは対照的。張った伏線はきちんと回収してあり、また他のシリーズにも活かされているので、同じ物語をちがう角度から見せてくれるおもしろさもあります。
笑う警官 (ハルキ文庫) -
笑う警官 (ハルキ文庫) -
警察庁から来た男 (ハルキ文庫) -
警察庁から来た男 (ハルキ文庫) -
警官の紋章 (ハルキ文庫) -
警官の紋章 (ハルキ文庫) -

これからは警察小説を読み続けていきたいと思っています。幸いに、これを紹介して下さった同僚(先輩です)が続けて佐々木譲の本を何冊も購入していらっしゃるので、借りて読ませていただきます。うちの本が増えることはない。家が小説で埋まることはないので安心しています(笑)。ありがたいことです。

新たに、「川久保篤巡査部長シリーズ」というのも読みはじめました。「暴雪圏 (新潮文庫) - 」。これも同じ北海道の警察を描いていて、直接の関係はないものの「北海道警シリーズ」の設定を活かしています。こうなると他のシリーズも、あるいは続刊も気になるところですが、自分で買っていないのでなんとも(笑)。早く次の本を貸していただきたいというのが本音ですが、借りている同僚に確認したところ、「ちょっと休憩」とのこと(笑)。首を長くして待っています。
暴雪圏 (新潮文庫) -
暴雪圏 (新潮文庫) -
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2017年01月23日

9割は大げさだろうと思うけど。

キャサリン・A・クラフト著「日本人の9割が間違える英語表現100 (ちくま新書1230)」、¥842

ところどころで「知らなかった!」と叫ぶことになりました。読んでいておもしろい本。

高校までに習った文法書の影響が大きく、「make it a rule to なになに」(056)とか「as is often the case with だれそれ」(046)とか、よくは使わないけれども、覚えているものがありますね。まあ言わないよなとは思いますけど(笑)。「mind my なになにing」の項では、
Do you mind my smoking?
= Do you mind me smoking?
= Do you mind if I smoke?
などと書いている文法書がたくさんありますが、それは間違いだと言わざるをえません。(041、p.097)など、うならされます。

「unless = if notとは限らない」(044)などは「完全イコール」だと思っていました。

わたくしの場合でいうと、アメリカ人の友だちに教えてもらったことで、
「遊びに行く」にはplayを使わない(029)
「恥ずかしい」にshyを使わない(054)
などは知っていました。playには性的な意味が含まれます。女性は絶対に使えない、男性も使うべきではないと教えてもらいました。また、shyについてはかなり悩んでいました。「shyとは言えないけど、じゃあ何ていうかな…… あえて言えばembarrassedかなー? でもちがうんだよ。とにかく、shyではないことだけはたしか」と言っていました。goodなんかの語感もあまり知らないですよね。fineとかniceとかあるけど、goodは別格だと聞きました。very goodと副詞を使う表現があるので、goodもなんかそんなもんだろ、的な取り方をしていましたが、そうではない。goodは実は「very good」なんだと聞いたことがあります。

また、英語の授業で習ったこともいくつかありましたね。
現在完了形でのsinceとforの使いわけ(047)
see a dreamとはいわない(053)
「put on」と「wear」の使いわけ(066)
convenientは人を主語にできない(078)
smellを動詞で使う(096)
smellって、「匂い」ではなく「臭い」なんですよ、名詞ならね。

最近、外国の人と会話する機会はまったくといってよいほどなくなってしまったのですが、会話の機会がないと忘れてしまいますね。

日本人が理解していないことを説明するのに、わたくしは「【DVD-ROM付】オックスフォード現代英英辞典 第9版 - 」は非常にオススメします。名詞、動詞といった基本的な品詞で、理解していないことが山ほどあることを、これを読んで実感します。機会があればぜひご一読を。わたくしは第8版は持っていましたが、現在第9版がDVD-ROM付きで出ているようです。買っておこうと思っています。


日本人の9割が間違える英語表現100 (ちくま新書1230) -
日本人の9割が間違える英語表現100 (ちくま新書1230) -

【DVD-ROM付】オックスフォード現代英英辞典 第9版 -
【DVD-ROM付】オックスフォード現代英英辞典 第9版 -
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2016年09月18日

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

加藤陽子著『それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫) - 』新潮文庫、¥810

これはよい本。今年読んだ今のところ1番。最近ブログを書いていなかったけど、きちんと書いておきたいと思いました。

夏になると戦争関連本が本屋に出てきます。奥付を見るとこの本は今年7月1日の出版ですが、文庫になる前は7年前に出ているようです。7年たってもこの本の価値は変わっていないですね。文庫本という形で多くの人の目に触れるようになればとてもよい、実際そうしてわたくしの目にも触れたのだから、よかったと思います。

この本、まず内容がよい。歴史の本ですが、「はじめに」では「現代における政治システムの機能不全」について述べられています。現在の選挙制度では与党が国民に人気がないときは総選挙が行われないこと、小選挙区下においては投票に熱意を持ち、人口集団の多数を占める世代の意見が突出して尊重されるという2つの問題をあげています。
これからの日本の政治は若年層贔屓と批判されるくらいでちょうどよいと腹をくくり、若い人々に光を当ててゆく覚悟がなければ公正には機能しないのではないかと思われるのです。(p.9)


序章では911の同時多発テロと日中戦争の類似、リンカーンのゲティスバーグ演説と日本国憲法の類似、戦争が持つ敵対国に対する作用などについて述べ、歴史を学ぶことの意義について述べています。立ち読みでは少し長いかもしれませんが(笑)、ここだけでも読まれたらと思います。ていうか、ここまで読むと買わずにはおれなくなります(笑)。

第1章の日清戦争から、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、そして最終第5章の太平洋戦争へとつながります。日清戦争を、「侵略と被侵略の物語」ではなく、「競い合う物語」として過去を見る。こういう言い方をして、右の方が喜ぶ結論につながるわけではないので、念のため(笑)。

ちょっと長くなりますが、あとがきを引用します。
神話とはつくづくよくできていると感心させられますが、歴史とは、内気で控えめでちょうどよいのではないでしょうか。本屋さんに行きますと、「大嘘」「二度と謝らなないための」云々といった刺激的な言葉を書名に冠した近現代史の読み物が積まれているのを目にします。地理的にも歴史的にも日本と関係の深い中国や韓国と日本の関係を論じたものにこのような刺激的な惹句のものが少なくありません。(改行)しかし、このような本を読み一時的に溜飲を下げても、結局のところ「あの戦争はなんだったのか」式の本に手を伸ばし続けることになりそうです。なぜそうなるかといえば、一つには、そのような本では戦争の実態を抉る「問い」が適切に設定されていないからであり、二つには、そのような本では史料とその史料が含む潜在的な情報すべてに対する公平な解釈がなされていないからです。これでは、過去の戦争を理解しえたという本当の充足感やカタルシスが結局のところ得られないので、同じような本を何度も読むことになるのです。このような時間とお金の無駄遣いは若い人々にはふさわしくありません。(pp.477-478)


この本についてもう一つだけ伝えておきたいのは、参考文献がしっかりしていることです。この本を読み終えた後、すぐ本屋に走り、長谷部恭男著「憲法とは何か (岩波新書) - 」(岩波新書)と山川の「もういちど読む山川世界現代史 - 」を購入しました。日本の歴史も復習しておきたいと思いました。

憲法とは何か (岩波新書) -
憲法とは何か (岩波新書) -
もういちど読む山川世界現代史 -
もういちど読む山川世界現代史 -
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2016年06月09日

プロ野球はおもしろい。「野球×統計は最強のバッテリーである」

セイバーメトリクスはかなり普及していて、多くの書籍を見かけるようになりました。

セイバーメトリクスの嚆矢と言えば、マイケル・ルイス著「マネー・ボール」で、映画にもなっています。セイバーメトリクスには興味があるので、このブログでも何度か書いたことがあります。(セイバーメトリクス:鳥越規央著「9回裏無死1塁でバントはするな」: 「地に足のついた投資」を考え、実践する場)。

また、昨年は「数字で斬る!2015プロ野球 パ・リーグ編 2015年 11/26 号 [雑誌]: 週刊ベースボール 増刊 - 」「数字で斬る!2015プロ野球 セ・リーグ編 2015年 11/25 号 [雑誌]: 週刊ベースボール 増刊 - 」といったムックが発売され、野球を理屈で見たい人にはたまらない世界が広がっています。

で、この本。データスタジアム株式会社著「野球×統計は最強のバッテリーである - セイバーメトリクスとトラッキングの世界 (中公新書ラクレ) - 」中公新書ラクレ、¥886

本書の第2章で、セイバーメトリクスの代表的な指標について解説があります。投手力、打者力(こんな言葉はない? 笑)、守備力などで選手を評価し、投手と野手を同じ土俵で計るような指標もあり、おもしろく読むことができます。

また、第3章の「トラッキングシステムの世界」は必読! 座談会形式で書かれています。投手の投げる球が「重力のみの影響を受けた」場合の位置を(0,0)という座標におくと、すべての投手の球はストレートも含め変化しているのです。その変化量は、投手によって特徴がある。だから、同じ投手が投げる球でもストレートか、変化球やその種類によってちがうのはもちろん、藤川投手のストレートと岩隈投手のストレートでは質が違い、打ちにくさがちがうということになります。このくだりはかなり読み応えがありますので、ぜひ本書でお読みください。

なお、この座談会での
私は、子供のときに「投手は9人目の野手である」ということを重視しすぎるのが良くないと思っています。(p.193)
というところにふせんを貼りました(笑)。

野球×統計は最強のバッテリーである - セイバーメトリクスとトラッキングの世界 (中公新書ラクレ) -
野球×統計は最強のバッテリーである - セイバーメトリクスとトラッキングの世界 (中公新書ラクレ) -

マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) -
マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) -

マネーボール [SPE BEST] [DVD] -
マネーボール [SPE BEST] [DVD] -

数字で斬る!2015プロ野球 パ・リーグ編 2015年 11/26 号 [雑誌]: 週刊ベースボール 増刊 -
数字で斬る!2015プロ野球 パ・リーグ編 2015年 11/26 号 [雑誌]: 週刊ベースボール 増刊 -

数字で斬る!2015プロ野球 セ・リーグ編 2015年 11/25 号 [雑誌]: 週刊ベースボール 増刊 -
数字で斬る!2015プロ野球 セ・リーグ編 2015年 11/25 号 [雑誌]: 週刊ベースボール 増刊 -
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