2016年09月18日

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

加藤陽子著『それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫) - 』新潮文庫、¥810

これはよい本。今年読んだ今のところ1番。最近ブログを書いていなかったけど、きちんと書いておきたいと思いました。

夏になると戦争関連本が本屋に出てきます。奥付を見るとこの本は今年7月1日の出版ですが、文庫になる前は7年前に出ているようです。7年たってもこの本の価値は変わっていないですね。文庫本という形で多くの人の目に触れるようになればとてもよい、実際そうしてわたくしの目にも触れたのだから、よかったと思います。

この本、まず内容がよい。歴史の本ですが、「はじめに」では「現代における政治システムの機能不全」について述べられています。現在の選挙制度では与党が国民に人気がないときは総選挙が行われないこと、小選挙区下においては投票に熱意を持ち、人口集団の多数を占める世代の意見が突出して尊重されるという2つの問題をあげています。
これからの日本の政治は若年層贔屓と批判されるくらいでちょうどよいと腹をくくり、若い人々に光を当ててゆく覚悟がなければ公正には機能しないのではないかと思われるのです。(p.9)


序章では911の同時多発テロと日中戦争の類似、リンカーンのゲティスバーグ演説と日本国憲法の類似、戦争が持つ敵対国に対する作用などについて述べ、歴史を学ぶことの意義について述べています。立ち読みでは少し長いかもしれませんが(笑)、ここだけでも読まれたらと思います。ていうか、ここまで読むと買わずにはおれなくなります(笑)。

第1章の日清戦争から、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、そして最終第5章の太平洋戦争へとつながります。日清戦争を、「侵略と被侵略の物語」ではなく、「競い合う物語」として過去を見る。こういう言い方をして、右の方が喜ぶ結論につながるわけではないので、念のため(笑)。

ちょっと長くなりますが、あとがきを引用します。
神話とはつくづくよくできていると感心させられますが、歴史とは、内気で控えめでちょうどよいのではないでしょうか。本屋さんに行きますと、「大嘘」「二度と謝らなないための」云々といった刺激的な言葉を書名に冠した近現代史の読み物が積まれているのを目にします。地理的にも歴史的にも日本と関係の深い中国や韓国と日本の関係を論じたものにこのような刺激的な惹句のものが少なくありません。(改行)しかし、このような本を読み一時的に溜飲を下げても、結局のところ「あの戦争はなんだったのか」式の本に手を伸ばし続けることになりそうです。なぜそうなるかといえば、一つには、そのような本では戦争の実態を抉る「問い」が適切に設定されていないからであり、二つには、そのような本では史料とその史料が含む潜在的な情報すべてに対する公平な解釈がなされていないからです。これでは、過去の戦争を理解しえたという本当の充足感やカタルシスが結局のところ得られないので、同じような本を何度も読むことになるのです。このような時間とお金の無駄遣いは若い人々にはふさわしくありません。(pp.477-478)


この本についてもう一つだけ伝えておきたいのは、参考文献がしっかりしていることです。この本を読み終えた後、すぐ本屋に走り、長谷部恭男著「憲法とは何か (岩波新書) - 」(岩波新書)と山川の「もういちど読む山川世界現代史 - 」を購入しました。日本の歴史も復習しておきたいと思いました。

憲法とは何か (岩波新書) -
憲法とは何か (岩波新書) -
もういちど読む山川世界現代史 -
もういちど読む山川世界現代史 -
posted by zxcvaq at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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