2016年04月15日

今年前半最大の収穫。「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」

ルイス・ダートネル著「この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた」河出書房新社、¥2,484

生物テロ、核戦争、はたまた小隕石の衝突、重大な病気の蔓延…… そういったことで人類の大半が滅んでしまった後、残された人々はどうやって文明を再興していくか。なんとも魅力的な設定ですね。もちろん自分は残される方です(笑)。

自分とその家族など数名が小規模なコミュニティを形成して生き残り、新たな生活をはじめるとしたら、何を、どんな順番で、どのように行いながらするのか。そういった思考実験の本です。同時に、人類が今の生活を得るために行ってきたことごとが、なぞられていっています。現代の生活に欠かせないPC、ケータイなどの科学技術はもちろんですが、農薬肥料、爆発物など地味だけど避けて通れない物質の生成方法などは必須。化学の復習みたいで楽しかったです。

まず農業かな、と考えるその前に、必要な物資を都市で手に入れ、それから田舎へ避難する。物資が残っていそうだし、農業をはじめるにしても人がいなくなれば都市でよいのではと思いますが、そうではないようです。

その後、農業、医薬品、移送手段など重要度ごとに手順を追って、復興への道すじをしめします。「マッドマックス」とか「北斗の拳」などの世紀末的な破滅のイメージではなく、現代の生活に近いところまで復活し、自分や自分の子どもたちがテクノロジー社会の恩恵を享受できるような日がふたたび来ることを、願っています。まだ滅んでいないですけどね(笑)。

復活後の世界は、エネルギー的にはガソリンをバンバン使うようなこれまでの生活様式ではなく、エコロジカルで自然と共存できるような世の中になるということが想像されています。そうあってほしいと望んでいます。残念ながら、地中に深く眠る石油類は、もう簡単には使えなくなっていますから。
大破局によって初歩的な段階にまで押し戻された社会では、ガソリンスタンドやガスタンクの在庫がなくなったあと、熱エネルギーの需要に見合うだけのものを供給するのは困難になるかもしれない。(中略)大破局後の生存者の中には、露天掘りできる地表に近い石炭の鉱脈を見つけられる集団もあるだろうが、それでも再出発する文明は環境に優しい復興を余儀なくされるかもしれない。(pp.116-117)


なお。Amazonのレビューに、翻訳がよくないという評価があります。たしかに、文系人間のわたくしが読んでいても「あれ?」と思うような記述があるのですが、それでもこの本は十分におもしろく、読む価値のある本だと思います。「翻訳が悪いから読む価値がない」と切り捨てるにはもったいない本です。「翻訳のまちがい」を考慮しても、楽しく読める本です。そして願わくば、この本が必要になるような世界が来ないことを祈ります……

私自身、「破局」をあつかった小説やストーリーは好きなのです。たとえばゴールディング「蠅の王」、楳図かずお「漂流教室〔文庫版〕(1) (小学館文庫)」、最近のものだと東野圭吾「パラドックス13 (講談社文庫)」、萩尾望都の「AWAY-アウェイ- 1 (フラワーコミックス)」も入れてよいでしょうか。科学文明復興のための知識と同時に、人をどう組織していくかも、残された人にとっては大切なことですね。

この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた -
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posted by zxcvaq at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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