沢木耕太郎といえば、もう「深夜特急
繰り返しますが、彼のどの作品も、私はおもしろいと思います。もともと出会ったのは、たぶん「Number」あたりのボクシングを題材にしたノンフィクションかな? 好きなのです。でも「沢木作品で何か一つ?」と聞かれたら、まよいなく「深夜特急」。
で、この本。深夜特急といえば「旅」ですね。この本では、10人のかたと「旅を巡る会話」をしていらっしゃいます。どのかたとも楽しく話していらっしゃる様子が伝わります。井上陽水氏のような有名人もいらっしゃいますし、はじめて聞いた人もおられるのですが、どのかたも楽しい。特に最後のほうに出てくる群ようこ、八木啓代、田村光昭の3氏はおすすめします。
メモ。
芭蕉の体の中には日本の中をどのようにしてどのくらい歩けばどこに着くか、という感覚があったと思うんです。芭蕉だけでなく、当時の人にはそういった距離に対する感覚があったんでしょうね。(p.182)
私たちは移動時間を縮め、現地でより多くの時間過ごせるようにと、高速の移動手段を使いがちです。でもそれでは距離感にともなう「存在」がつかみにくい。高田宏氏との対談でした。
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