鳥越規央著「9回裏無死1塁でバントはするな
セイバーメトリクスといえば、オークランド・アスレティクスのGMビリー・ビーンを描いた「マネー・ボール」 (ランダムハウス講談社文庫)
野球というスポーツを統計学的手法で読み解くと、一面の真実が浮かび上がる。それがセイバーメトリクスです。この考えかたは野球のみならず、サッカーやバレーボールなどでも使われてきています。
セイバーメトリクスについてある年配の男性と話をしたのですが、そのかたにはぜんぜん受け入れてもらえませんでした。議論がかみ合わない。相手のかたは「情がない」みたいな批判でした。情がないことはそのとおりでいいのですが(笑)、「だからダメ」というのは必ずしも当たらないと思います。あくまで「統計的に処理した結果」なのですから。
セイバーメトリクス的には、盗塁にあまり意味はありません。では「盗塁」という采配に意味がないのかというと、そうではない(たぶん)。一つの盗塁の成功/失敗より、盗塁の企図が、後のバッテリーの動揺を誘うことがある。このあたりは野村克也氏の得意とするところでしょう。そこが、「人間」がプレーし、「人間」が判断する野球というスポーツのおもしろいところだと思います。
一方で、高校野球のように無死1塁で必ず送りバントすることに意味があるのか? もちろんあると思いますけど、あまりおもしろくないですね。そういった批判には批判的にサイバーメトリクスを使わせていただきます(笑)。
テレビで野球を見るときに、「監督」の立場で観戦する人って多いと思うのです。「ここは手堅く送りバントだろう」とか、「エンドランだ」とか。素人としては、その裏に理論的な裏付けがほしいところ。そういった人におもしろく読める本ではないでしょうか。

