2009年06月26日

続ける力

今年18冊目/今月3冊目

伊藤真著「続ける力―仕事・勉強で成功する王道 (幻冬舎新書)」幻冬舎新書、¥756

 たくさんのノウハウが公開されています。新書ですので、いわゆるビジネス書のような「ハウツー」としてではなく、読み物として読みやすいです。このあたりは好きずきもあるかもしれませんが、私はポストイットをたくさん貼りながら読めました。

 著者の伊藤真氏は司法試験などの受験指導をする「伊藤塾」を主宰。超難関試験を突破するために重要なのは「頭のよさ」ではなく、「続ける力」だとして著したのが本書。

 まず、「やる気」を続ける技術(第二章)として、「やる気を続けるための4つのモットー」が出てきます。それは、
・「もうダメだと思うときこそ、ゴールが近い」
・「合格後を考える」
・「Festina Lente(フェスティナ・レンテ)−−ゆっくり急げ」
・「やればできる、必ずできる」「最後まで絶対にあきらめない」
というもの。ゴールがどこにあるのかを見きわめる。ただし、大事なのは合格したあと。司法試験であれば、合格したあとにどのような法曹になりたいのか。合格で燃えつきてしまわないように。また、ゴールまでの道筋は他人とくらべても意味がない。「やる気を長く維持していくためには、未来の夢を大きく描くことと、目の前の一歩一歩に集中することの、両方のバランスがとても大切なのです」(pp.45-46)。そして、やれば必ずできるのだから、毎日しっかりがんばれ。
 受験でも同じですね。私も大学に入ったときがまさに燃えつきてしまっていて、緊張感のない学生生活だったような(笑)。

 こうしたモットーとともに、「やる気」を続けるためのテクニックが多数紹介されています。精神論でがんばるのではないとおっしゃるのは勝間和代氏と同じ。モチベーションを維持するために、新しいこと、ちょっとむずかしいことに挑戦してみる。マンネリ対策は「一定の課題がどれぐらいの時間でクリアできるか」といった「ゲーム化」、不合格後にテキストを新調する「リセット」など。本来、モチベーションの持続には「成果を見えるかたちで残す」ことが重要で、目に見える蓄積をリセットするのは逆の発想だが、効き目があるとのことです。

 「部分的な問題を全体視しない」、「短期的な問題を永続化しない」というのもよい考えで、私もこれは最近心がけるようにしています。何かがダメになったとき、「自分は何をやってもダメだ」とは思わない。これは他人を見るときにもいえます。「あの人はお金にルーズだからダメな人間だ」などとつい思ってしまいますが、それはその人の一部分。その人をすべて否定してしまうような「思いこみ」は避けるようにしています。また、多くの場合問題は一時的なもの。ここでダメだから、今後ずっとダメなどと考えないこと。大切なのはスランプに陥ったときに、狭くなった視野を広げてやることで、気持ちだけでなく、夜空や海を眺めて物理的に広い視野を持つのも気分転換に役立つとのことです。これは私にもわかります。

 「睡眠・食事・ストレスのうち、どれか2つをプラスに」というのも、心がけるのに役立つアドバイスでした。3つともマイナスだとすぐ身体がパンクする。睡眠不足は細かい昼寝などで解消し、物事を悪いほうに考えず、楽天的に受け止める。「試練も障害も、すべて自分にとって意味のあることだと考える」(p.70)。「何か失敗やトラブルがあると、『来た来た。これは自分を鍛えるチャンスだ』と考えてみるようにした」(p.71)。なかなかこうは考えられません。ただ、年齢を経るに従って、感情の起伏そのものは少なくなってきました。

 第三章は「一流になる人の学び続ける技術」と題する章。「『次につながる失敗』『そこから何かを得られる失敗』は、本当の失敗ではないのです(p.91)。考えかた一つだといえばそれまでですが、失敗してもタダでは起きず、そこから何かを得る。何を得るかは自分次第。学び続ける技術のツボはここにあると私は思います。この他、勉強・仕事をやりとげる計画術(第四章)、とっておきの記憶術(第5章)なども参考になるでしょう。

 第六章では著者の失敗談が語られています。失敗したときに、原因を外に求めたくなる気持ちは非常によくわかります。ですが、「いくら相手を攻撃しても、何の解決にもつながらない。自分の努力で変えられるのは自分だけです。それならば、ピンチを招いてしまった要因を自分の中に探し出し、自分のほうを変えるべきです。それには自分を見つめ直す『謙虚さ』が必要です」(p.143)。そして謙虚さと同じく、「自信」「他人への尊敬」を得られた。私がこれまでの人生を振り返ると、「謙虚さ」と「自信」、「他人への尊敬」ってぜんぜんバランスしていなかったと思います。「自信」ばかりが肥大している。現在でもその傾向は変わりませんが、謙虚さや他人への尊敬が、何となく、わかってきたかなと感じています。こういうのは年齢を経るとわかるようになるのでしょう。成長の一過程だと自分では喜んでいます。

 いろいろな意味で、自分を見つめ直すよい本でした。ノウハウを詰め込んだ第五章までもよかったですが、失敗を語った第六章、人生に対する向き合いかたを書いた第七章、第八章もよかった。私が著者のようになりたいと今考えても、遅すぎるでしょう。でも、自分も何かひとつ、自分の人生の中で成しておきたい。後世の人に語り継がれるようなことでなくてよいのです。この世界に、こういう人がいたと。いやもっと狭い、自分の子どもたちから、自分の父はこんな人だったと、思い出してもらえるような人生を歩みたいと思います。「どこかへ連れて行ってもらった」とか「何かしてもらった」ということではなく、「こんな生きかたをした人だった」と思い出してもらえるような親になりたいと思います。本書は「『続ける』ことこそが、すべてのゴールにつながる『王道』なのです」(p.177)として結ばれています。より高い「人生の目標」について考えるきっかけになった1冊でした。

posted by zxcvaq at 06:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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