2009年05月20日

こんなことまでゲノムで決まる

今年14冊目/今月3冊目

中込弥男著「こんなことまでゲノムで決まる―人生をあやつる30億文字の暗号」講談社、¥1,575

恐るべし、ゲノム! 願わくは、私のよりマシな遺伝子が妻から子どもに伝わっていますように……

  2005年の出版。私が以前、遺伝子について読んだ知識の一部が修正されました。何年か前に(学生時代だったのか、それともすでに社会人になっていたのか定かではありません)読んだ本には、「人間の身長が1.7mぐらいであることは、遺伝子情報にはない」と書いてありました。遺伝子には、人間を構成する材料についての記述はあるが、これぐらいのサイズでといった情報はないと。しかしこの本では、生物によってサイズが決まってくるのは遺伝子による、すなわち背の高さは親のサイズで決まってくると冒頭に書かれていました。この部分で、本書を読むことが決定しました(笑)。

 読み物として、気楽に読めます。細かい話はいっぱい出てきますが、むずかしい説明はあまりなく、読んでいてちんぷんかんぷんということはほとんどありません。

 身長は栄養によって決まる。いわゆる生活習慣病は生活習慣によって決まる。私も子どものころからみっちり鍛えていれば、すごい運動選手になっていたかもしれない。こういったことには実は、ゲノムが大きくかかわっています。生活習慣病でいうと、「いくつかの遺伝子の影響が少しずつ積み上げられ、さらに生活習慣病の問題まで加わって発病の限界を超える」(pp.95-96)といったことのようです。アメリカにピマインディアンという先住民族がいて、彼らはほとんど全員が肥満や二型糖尿病になるそうです。これは彼らが肥満や糖尿病になりやすいゲノムを持っているから。アメリカ式の高カロリーな生活がはじまって、運動しなくなったことで、とたんに肥満と糖尿病の爆発的な発生につながったとのこと。生活習慣の影響はとても大きいのです。将来はこのような状況をふまえ、「オーダーメード治療」といわれるような個人の遺伝子の特徴にあわせた医療が一般的になるかもしれないですね。

 遺伝子診断やDNA 鑑定についても1章を割いて説明してあり、最終章では「入門 ゲノム・遺伝子・DNA」として構造や働きに関する説明もなされていて、てっとりばやくゲノムについて知るにはよい本でした。本書で筆者も述べていますが、これを読んで「何でもゲノムで決まっているなら努力はムダか」と思ってはいけません。プロ野球の世界に行くのなら別ですが、ふつうに生活する上では努力はムダではありません。「自分はここに気をつけよう」と意識しておくぐらいの感じでよろしいのではないでしょうか。

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posted by zxcvaq at 06:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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