2008年11月04日

PRESIDENT 2008.9.1号 その1

PRESIDENT (プレジデント) 2008年 9/1号 [雑誌]です。特集は「お金の新常識60」。この特集恒例となった(?)大前研一氏が、特集冒頭に「なぜ日本人はリスクと賢く付き合えないか」を書いていらっしゃいます。原稿を書かれたのは8月ごろでしょうか。これを読んでいる現時点から見ると、えらそうに取り上げている私は後出しジャンケンしている感がありますが(笑)、さすが大前氏、勘どころを押えていらっしゃいます。というわけで、先日に引き続き大前研一

 ボーダレス経済でお金は一国にとどまらず、高齢者の余ったお金が”ホームレスマネー”として世界中を駆け巡っている。株や債券のみならず、商品や不動産もすべてグローバル化したが、その際たるものがサブプライムローン。サブプライムローンは実態が見えず、純粋なサブプライム部分は30兆円だが、ミンチになって300兆円の巨額な金融商品の中にまぎれており、わからなくなっている。こうした事情は最大手のシティバンクだけでなく、メリルリンチやモルガンスタンレー、リーマン・ブラザーズもゴールドマンサックスも(ああ、このあたりは先日えらいことになりましたね)。さらに問題はファニーメイやフレディマックで、深刻な状況に追い込まれる見通し(こちらは政府が保障)。

 こうしたことがおこったのは、世界で余っている金の量に対して投資機会が限られているから。マネーは石油や貴金属、不動産や穀物などあらゆるところに流れている。資産運用は基本に忠実であるべき。確実に価値が上がる、あるいは良いタイミングだと思ったら買う。価値が上がったら1/3ずつ売る。まずけっこう高いなと思ったところで1/3、ここがピークと思ったら1/3、ピークを越えたらあわてて1/3。日本人の負けパターンは後から追いかけて高値買いし、逃げおくれて底値で売る。

 日本市場でいえば昨年8月が潮目の変わりどき。これから被害はますます広がる。アメリカも5年やそこらは低迷するだろう。
(1) 昨年8月は金融庁から不動産関係の貸し出しを自粛せよとの通達があった。以降、不動産価格は下落している(10月9日にはニューシティ・レジデンス投資法人が民事再生法の適用を申請)。
(2) サブプライム問題の発生
(3) ブルドックソースの判決が出て、日本政府が外資を歓迎しないとのシグナルを世界に向けて発信してしまった。
 この三重の偶然で景気が急速に冷えた。今は90〜91年頃の状況に似ている。

 不動産は世界的に上げ止まっている。これはオリンピック後に何が起こるかわからないのと、アメリカの景気後退の影響。これはインドと中国が影響を受ける。中国のリスク分散のために投資していたベトナムはさらに危険と、ベトナム投資は激減している。同じBRICKsでアメリカとカップリングが薄いのはエネルギー大国のロシア、穀物・資源大国のブラジル。またEUもアメリカと距離がある。EUは今後金利を上げていく傾向にあり、ドル安ユーロ高に拍車がかかる(実際はユーロも金利を下げていますね。アメリカに引きずられています)。

 アメリカ経済はズブズブと沈み込むことにはならない。たしかにサブプライムはまだまだ解決が見えず、アメリカ初の銀行国有化もあり得る(ビンゴ!)。ただし経済の底が抜けるにはいたらないだろう。富裕層はポートフォリオで運用しており、サブプライム問題ではさほどダメージを受けない。アメリカ経済自体は今後5年はよくてフラット、上に上がることも、下がることもないだろう。

 ポスト・サブプライムの世界は、
(1) EUの台頭
 アメリカでも中国でもない。域内経済は潤沢、教育レベルもスキルも高い、通貨も強い。
(2) ロシアとブラジル
 先行していた中国とインドに変わり、比較優位。
(3) エネルギー問題
 原油高=穀物高、食料品高でホームレスマネーは農地に向かった。環境にやさしく、人間の食糧とかち合わないのは原子力。世界の4大原子力供給メーカーの3つは日本(東芝、三菱重工業、日立製作所とフランスのアルバ)。石油価格が上がると東芝の株が上がる。太陽電池などの代替エネルギーを見ても、実は日本は「エネルギー大国」。近い将来、石油価格に抑止力となる代替エネルギーが登場すれば、今日の石油ショックは長期的に見て人類にいいことだったと振り返ることになるかもしれない。
 石油価格の先行きはわからない。中長期的には原油高や食糧高は克服され、アメリカも金融危機から4〜5年で立ち直るだろうが、アメリカのシングル・ヘゲモニーは失われるだろう。10年以内にロシアはEUに統合されるだろうから、巨大な経済圏として21世紀前半はヨーロッパの時代になる。日本は最悪期を脱し、世界中で活躍するところが増えている。ガソリン価格が上がって日本車が売れるように、エネルギー価格が高くなることで潤う日本企業がある。その観点から日本企業を再点検してみてはどうか?

 大前氏の発言があったからではないですが、私も自分の資産のいくらかをユーロに投資しています。もともとの発想は米ドルと人民元に集中していた資産を分散させるつもりだったのですが、こうした見立てを読んで自分の運用に自信を持ちました(笑)。本当はもっとユーロを買いたいのですが(笑)。

その2へつづく。



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